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発達に特性のある子・不登校の子の高校進学どう決める?選択肢や特色、決めるポイントを解説します

解説 2022.08.02
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ヴィストカレッジディレクターの林原です。

今回は、中学校3年生が高校進学を検討する際の選択肢に関して解説します。

ヴィストカレッジでは、来年、高校進学を見据えている中学3年生が30名以上いらっしゃいます。

中学校の所属に関しては、
①普通学校の通常級
②普通学校の通常級に在籍しながら通級指導
③普通学校の特別支援級
④特別支援学校
の4パターンに分かれるかと思います。

高校の進路を検討する際に、②、③に在籍しているお子さんの保護者の方、学校の先生方、そしてお子さん本人は、とても悩まれることも多いかと思います。

また、高校進学にあたって「不登校」の問題も深刻です。

文部科学省の2019年の調査では、「小・中学校における不登校児童生徒数は164,528人(前年度144,031人),前年度から20,497人 (約14%)に増加。 在籍児童生徒に占める不登校児童生徒の割合は1.7%(前年度1.5%)」と年々増加傾向にあります。

「中学校へ行けてない(または行かない選択をしている)場合、高校進学はどうしたらいいのか?」と悩まれる方も多いかと思います。

まずは、どのような選択肢があるのかを見ていきましょう。

高校進学の選択肢としてどのようなものがあるのか?

進学先は下記のような時期に検討をされることが多いかと思います。

① 幼稚園・保育園・認定こども園 → 小学校
② 小学校 → 中学校
③ 中学校 → 高校、就職
④ 高校 → 大学等の進学、就職
⑤ 大学等 → 就職、大学院等

① から⑤に進む(年齢が上がる)に従って、選択できる幅も広がります。特に、③の中学校から高校または就職のタイミングは、義務教育が終了し、②に比べ、選択の幅は大きく広がります。

では、どういった選択肢があるのかご説明いたします。

(1) 全日制高校(公立)
(2) 全日制高校(私立)
(3) 定時制高校(公立)
(4) 通信制高校(公立)
(5) 通信制高校(私立)
(6) 高等専門学校
(7) 高等支援学校
(8) 特別支援学校高等部
(9) 就職(一般枠・障害者枠)
(10)福祉事業所(就労継続、就労移行)
(11)専修学校(パソコン教室など)

(7)の「高等支援学校」と(8)「特別支援学校の高等部」の違いについてお伝えすると、(7)の「高等支援学校」は軽度知的障害を対象にした、一般就労に特化した支援学校です。
(8)「特別支援学校の高等部」は知的障害を対象にして幅広く受け入れている支援学校となり、入学の選考の時点で明確に異なっています。

(7)の「高等支援学校」に関しては、設置の有無は、都道府県によって異なるようです。

ヴィストカレッジの事業所がある富山県と石川県においては、富山県では富山市と高岡市に高等支援学校が2校あり、「軽度知的障害」のお子さんが一般就労を進むことが目的とされています。

石川県には高等支援学校は設置されていませんが、特別支援学校から一般就労者を増やす対策として、「障害のある生徒のインターンシップ促進事業」に取り組んでおり、ヴィストカレッジでも「就労サポーター」として石川県の特別支援学校に関わらせていただいております。

(10)の福祉作業所に関しては、利用する際は「18歳以上」であることが原則です。しかし、児童福祉法第63条の5によると「児童相談所長から市町村への通知」がある場合は利用が可能となります。

これ以外にも、各都道府県によって選択できる進路は異なる可能性はあります。

義務教育が終わり、将来の「就職」を見据えて、さまざまな特色のある進路が選択可能であることがお分かりになると思います。

数字で見る進路の状況

富山県を例に「2021年度学校基本調査」より、中学校を卒業した後の進路の状況に関してみてみます。

中学卒業生の人数が8,966名に対し、高等学校等(特別支援学校を含む)への進学者は8,906名と99%以上のお子さんが高等学校等へ進学していることがわかります。

また、高等学校等へ進学した8,906名の内訳をみてみると、
全日制:8,187名
定時制:251名
通信制:148名
高等専門学校:235名
特別支援学校高等部:85名
となっており、全日制の生徒が91%と最も多い人数になっています。(図1参照)

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図1:富山県の令和3年高校卒業者進路の内訳グラフ(学校基本調査をもとにヴィストにて作成)

また、近年では、通信制へ進学する生徒も増えています

2020年の文部科学省の学校基本調査によると、全日制高校の生徒数が平成11年に全日制に在籍する生徒が421万人に対し、2020年では309万人と100万人以上減少しているのに対し、通信制高校の生徒数は、平成11年に通信制に在籍する生徒が17万人に対し、令和2年では20万人と3万人の増加をしています。(図2参照)

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図2:1999年の全日制・定時制・通信制を在籍者数を100とした場合の増減グラフ(学校基本調査をもとにヴィストにて作成)

この背景には、少子化により子どもの人数が減っているため全日制高校の生徒数が減少しているのに対し、特別なニーズを必要とする子どもは増加しているため、多様な教育内容を展開できる通信制高校の生徒数の人数が増えていると思われます。

全日制定時制高校、通信制高校、特別支援学校のそれぞれの特色

今回は、中学校在籍時に、通常学校に在籍し、「通級指導教室利用」や「特別支援級」や「不登校経験あり」など、特別なニーズが必要なお子さんにとって必要と思われる情報を「林原視点」でピックアップしてみました。

地域によってニーズの差があるため、今回は林原在住の「富山県」をベースに検討しています。他の地域にお住まいの方は、参考にしていただき、各地域の学校や教育委員会等にご確認をいただけると幸いです。

全日制・定時制高校

卒業後の進路

令和3年学校基本調査によると、8,720名が卒業し、4,775名が大学等に進学、1,516名が専修学校(専門課程)に進学、1,751名が就職となっており、72%以上が進学しています。

工業高校、商業高校など就職に向けた専門過程を準備している課程を除いた、「普通科」では「教育指導要領に沿った教科学習」がメインとなり、出口として進学がメインになることがわかります。

将来、「進学」をイメージできる方、特に進学者の中でもの最も多い「大学等」に進学を希望する方にとっては有効な選択肢と思われます。

授業

上記で述べているように、専門課程を準備している学校以外は「教育指導要領に沿った教科学習」がメインになり、中学校の積み上げが必要になる場合が多いです。

また、クラスの人数も40名程度と中学校に比べ多くなる傾向にあります。(特に中学校で8人を上限にしていた特別支援級に在籍していた子どもにとっては環境が大きく変わります)

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※教室のイメージです

部活動

学校によって様々な特色のある部活動が準備されています。

発達に特性をお持ちの方が得意なことの多い、「パソコン」や「写真」「電車」といった部活動もあり、生徒数が多い学校では、部活の活動の幅や内容に特色のあるお話をよく聞きます。

個別のサポート

一部の私立の全日制の学校では行われています。

公立では巡回指導員がとても頑張っている様子をお聞きしますが、マンパワー的に不足しています。

定時制では個別の指導計画をもとに、通級指導を実施している学校もあります。詳細についてはそれぞれの学校へご確認ください。

通信制高校

卒業後の進路

2021年学校基本調査によると、56名が卒業し、11名が大学等に進学、13名が専修学校(専門課程)に進学、19名が就職、12名がそれ以外となっています。

富山県教育委員会の調査している数字になるため、広域通信制高校で本校が富山県にない学校は数字の中に入っていないようです(星槎や第一学院高校など)。

私自身が8年間、通信制の高校の教員として働いていましたが、進学が多いように思います。特に、富山県内の専門学校や短大への進学希望者が多い印象があります。

授業

公立と私立では大きく異なります。

公立では、基本的には「教育指導要領」に沿った教科の学習が中心になります。私立では、学校の理念に合わせた独特の授業を展開しています。

私の在職していた通信制高校では、「ゼミ授業」と言われる体験型授業がメインでした。第一学院高校は、進学に強く、一人一人に合わせたカリキュラムで学習できるそうです。

いずれの学校も、登校日数や授業のスタイル(通学、オンライン)などが選択できるため、中学時代に不登校経験のある生徒には学びやすいと思います。

また、現在日本で最も生徒数の多いN高は、通学は最小限にオンライン中心で学ぶことができます。

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※オンライン学習のイメージ

部活動

全国通信制体育大会に出場するための練習を積んでいる部活動もあれば、各学校で独自に大会を開き活動を実施している学校など様々です。

N高では、部活動も「オンライン」で行われており、オンライン会議システムやチャットを使い、全国各地の子どもと友達になれる取り組みも行われています。

個別のサポート

公立と私立では大きく違います。

富山県の公立の定時制・通信制では「通級指導」が開始されています。

私立では、1クラスの人数が少なく、特別なニーズのある生徒むけに個別サポートの体制を作っている学校が多いのが特徴です。

特別支援学校等

卒業後の進路

2021年学校基本調査によると、178名が卒業し、8名が大学等に進学、5名が専修学校(専門課程)に進学、53名が就職、112名がそれ以外となっています。

やはり、就職には圧倒的な強みが見られます。112名の「それ以外」には、福祉的就労(就労継続A・B型、就労移行支援)、生活介護等が含まれていると思われます。

授業

2021年『特別支援学校設置基準の公布等について(通知)』には、クラスの人数が「高等部の1学級の生徒数は8名以下」となっており、学科の種類に関しては「普通教育を主とする学科」および「専門教科を主とする学科」に分かれているようです。

私は、富山県外の特別支援学校で「就労サポーター」として授業もさせていただいていますが、週に3日は前者の授業、週に2日は後者の授業の中で校内に実習班を作り、各作業に取り組んでいました。

また、1年生から始まる「施設外実習」では、一般企業で仕事体験ができるため、本人の得意な部分、不得意な部分、さらに学習を進めた方がいい課題などが体験を通してわかるため、高校を卒業をした後の進路がより明確になります。

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※施設外実習のイメージ

部活動

陸上部や卓球部など、各学校独自の取り組みを行なっています。

個別のサポート

子どもの特性や、障がいの程度も様々なため、1クラスの人数が少なく、先生の人数が全日制・通信制の学校より多いこともあり、個別のサポートやしやすい環境にあると思います。

また、卒業後のアフターフォローを年間数回行っている点も、支援学校の強みだと思います。

本人の自己選択が大切

中学校までと比べると、高校進学は選択肢が広がります。

どの選択肢が本人にとって最適なのか、本人が選択することが大切です。

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※画像はイメージです

特に、ASD(自閉症スペクトラム)のお子さんは、イメージする力が弱い場合が多いので、入学する前に進学を希望する学校に実際に体験に行き、本人が決めるのがベストでしょう。

現在はパソコンやスマホなど、情報を集める手段はたくさんあります。本人と一緒にどの選択肢がいいのかを、学校の先生や事業所のスタッフとともに試行錯誤して決定していくプロセスが大切です。

私は就労支援をしていた時、20〜30代の方が「親があの時にだめって言ったから自分は失敗したんだ」という言葉を何度も聞きました。心理学用語でいうところの「自己奉仕バイアス」で、うまく行かなかったことを、環境のせいにしてしまう傾向が多くあります。

「自分で決めたんだ」という感覚を持つことで、失敗した時に自分を振り返るようになり、成功したときは、「自己効力感」が上がるはずです。

高校は、子どもにとって最初の「人生の自己決定」の場面になります。その子にとって最良の選択ができるよう、参考にしていただけると幸いです。

[引用元・参考文献]

文部科学省(2020)「学校基本調査」
文部科学省(2021)「学校基本調査」
文部科学省(2021)「特別支援学校設置基準の公布等について(通知)」

執筆者:林原洋二郎
ヴィストカレッジ ディレクター。富山大学大学院人間発達科学部修了(教育士)、金沢大学子どもの心の発達研究センター研究員。富山福祉短期大学非常勤講師。物流企業の営業職、広域通信制高校センター長を経て現職。発達障害の就労支援と発達に特性を持つ子どもの療育(発達を促し、自立して生活できるように援助すること)に従事。『放課後等デイサービスにおけるプログラミングを利用した自己肯定感を育む支援』(日本教育工学会論文誌/2021)など多数執筆。

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