ヴィストキャリア ロゴマーク ヴィストキャリア
就労移行支援・就労定着支援


読みもの

広報とジョブコーチ、2つの役割を通して「みんな」が一緒に働く場所をつくる【キャリア富山駅前卒業生・跡治さん】

インタビュー 2022.02.17

跡治 宗一朗さん 
年齢:30代 
就職先:富山赤十字病院 医療情報企画課 兼 総務課 
障害名: 脳性麻痺 
ヴィストキャリア在籍期間: 0年7か月(ヴィストキャリア富山駅前) 
勤務期間:2016年12月~現在  

仕事では「広報」と「ジョブコーチ」を兼務 

現在のお仕事内容や働き方を教えてください。 

週5日、8:30~17:00で働いています。 

医療情報企画課の中で広報を担当しています。職員向け広報誌の編集や、動画の提案・編集、その他の印刷物の発注、ホームページの更新、プレスリリースの作成、取材対応などがあります。 

広報の業務のほかに、コロナ禍ならではですが、患者さんのお見舞いがリモートになっているので、病棟と面談室をパソコンでつなぐ準備も行います。 

2019年9月にジョブコーチ(※)を取得したので、ハローワークや就労支援の事業所から障害者雇用の実習の依頼を受けた際には、計画を立てたり、業務の切り出しの調整を行っています。 

※ジョブコーチ:
障害者の職場適応に向けて支援を行う人。障害者に対しては、職場の従業員の方との関わり方や、効率の良い作業の進め方などのアドバイスを行います。事業主に対しては 本人が力を発揮しやすい作業の提案や、障害特性を踏まえた仕事の教え方などのアドバイスを行います。  

来年度の看護師採用に向けて、パンフレットの増刷について相談中。

障害者雇用を進めていくお仕事もしているんですね。事例を教えてください。 

実習を経て今年の4月に採用となった方は、進行性難病で電動車いすを使用している方でした。 

就職の経験がなく、「働くイメージが湧かない」という状況だったので、実習期間が始まる前に、医療情報企画課に半日いていただいて、みんなの働く様子や業務を見てもらいました。他のスタッフが働いている中で、どうやって一緒に働くか、どうやって介助を頼むかなど、“働くための工夫”を実習生と一緒に考えていきました。 

 
例えば「エレベーターのボタンが押せない」「ノートパソコンの開閉ができない」などの課題がありましたが、エレベーターのボタンを押すための道具を100円ショップのもので作ったり、ノートパソコンの開閉を毎日行うのではなく、一週間通しで開けておくなどの工夫を一緒に考えていきました。 

実習の最終日には、実習期間中にどこまでできるようになったのかを、ハローワークや職業センターの方、当院の総務課などにプレゼンする場を設けました。 

ヴィストのスタッフから学んだ、一生懸命働く姿勢 

広報の仕事はメディアや取引先との電話や対面でのやり取りも多く、コミュニケーションスキルやスケジュールを管理する力も必要です

日々の仕事で大事にしていることはありますか? 

今に限った話ではないのですが、就職活動で苦労していた時に、「働くとは」ということをちゃんと考えながら就職活動をしたいと思っていて、そんな中でたどり着いたのがヴィストでした。 

ヴィストのスタッフの方とは、一緒にハローワークの求人以外にも職場探しをしたり、会社訪問をしたり、不採用後の原因分析をしました。でも、それだけではなく、通勤に必要だからとオリジナルのカッパを一緒に考えて、作製もしました。毎日精いっぱい、あらゆる方法で企業開拓をするスタッフの姿を見て、「一生懸命働くってこういうことなんだろうな」と、思ったんですよね。 

また、ジョブコーチとしては、「支援する」というよりは、「可能性を広げる材料づくりを本人と一緒にする」ということを大事にしています。 

障害種別を問わず、みんなに共通するのですが、本人のやる気と仕事内容のマッチングについて、僕は基本的にマッチングしないことはなくどうマッチングさせるかの問題だと思っています。本人のやる気と、一緒に働ける環境をつくるということが大切だと思います。 

ここまでのレベルに達したら働ける、という考えではなく、「どうやったらその人が働けるのか」を、常に一緒に考えられる人でありたいと思います。 

「握力が弱く、引き出しを開けることが難しい」となれば、どうすればできるかを一緒に考え、試行錯誤します。この時は引き出しやすいようにゴムひもを取り付けました。こうした環境整備をするのもジョブコーチの仕事のひとつです(写真提供:跡治さん)

学びながら創っていく「自分なりの広報」と「誰もが一緒に働ける環境」 

日々、あらゆる部署のスタッフとやり取りし、各所と調整しながら広報業務に取り組んでいる跡治さん。様々なスタッフが跡治さんのもとを訪れ、広報に関する相談をしています。

これから取り組みたいことはありますか? 

広報としては、「広告」でお金をかけて宣伝するのではなく、「広報」としてどうやっていろんな人に・いろんな場面で病院の名前や強みを目にしてもらうかを考えていきたいです。そのためには先生方への取材にも立ち会わせていただいて、医療についての知識も身につけていきたいですし、他社や異業種の広報の仕事を参考にしながら、自分なりの広報の形を創っていけたらいいなと思います。 

跡治さんが作成したプレスリリース。この内容を元に取材が入り、新聞記事になりました。

また、病気や障害と付き合いながらみんなが一緒に働くとはどういうことかを発信していきたいです。みんなが一緒に働くためには、気持ちだけではなく、基本的・専門的な対応が必要になります。ジョブコーチとして、その対応の引き出しを増やすための知識をつけて、実践していきたいです。でも、こうした知識や専門的な対応は、誰もが一緒に働ける環境づくりの手段でしかないので、それが目的にならないように、常に意識しています。 

最後に、どんな方にヴィストをお勧めしたいですか? 

ヴィストは、「自分が就職に向けて主体的に動く中でサポートしてくれるところ」だと思います。 

「働く」ということを一緒に模索できる場所なので、自分がどうしたいか、どう働きたいかを自分から発信できれば、どんな人が来てもいいと思います。 


スタッフからのコメント

コミュニケーションを取るのがお上手で、職場でのポジションも確立されている跡治さん。どんどん活躍の幅が広がっています!跡治さんがおっしゃることや実際にお仕事でされていることは、私たちも見習うべき考え方や寄り添い方だったりします。 

ヴィストの卒業生ではありますが、社会の障害者雇用を進めていく上ではパートナーのような存在で、尊敬しています。 

TOP > 読みもの > 広報とジョブコーチ、2つの役割を通して「みんな」が一緒に働く場所をつくる【キャリア富山駅前卒業生・跡治さん】