ASD(自閉スペクトラム症)の利用者さんに聞く!就職活動をどうすすめているの?
ヴィストキャリアでは、うつ・統合失調症・発達障害などの障害をお持ちの方が通所されており、それぞれの特性に合わせて支援をカスタマイズしています。

今回は、発達障害のなかでもASD(自閉スペクトラム症)の疾患をお持ちのAさんに、就職活動をどのようにすすめているのか教えていただきました。
ASD(自閉スペクトラム症)ってどういう障害?
ASDとは
ASD(自閉スペクトラム症、アスペルガー症候群)について | e-ヘルスネット(厚生労働省) (mhlw.go.jp)
多くの遺伝的な要因が複雑に関与して起こる生まれつきの脳機能障害。感情を共有することが苦手で、対人的相互関係を築くのが難しい。また、一つの興味・事柄に関心が限定され、こだわりが強く、感覚過敏あるいは鈍麻など感覚の問題も認められることが特徴的です
このように一般的には定義されていますが、実際はそれぞれの方によって症状はさまざまです。
ASDの方の中には、その特性ゆえになかなか自己理解を深めることに苦労され、面接時に障害について聞かれた時に困ってしまうことも少なくありません。
Aさんは特性について、自分だけで考えるのではなく周りの人に教えてもらうという方法で整理してきました。

「親身になってくれる主治医の先生・家族・支援員から見た長所と短所を教えてもらいました。家族はうまれ育った過程を知っているので、そこからも聞きながら、家族だけでなく多方面から情報をもらうことが大事だと思います。」
今回はAさんに、自身の特性について、まとめたものを見せていただきました。
得意なこと | 苦手なこと |
---|---|
・まじめ ・興味のあることはとことん調べる ・表を作り記録をまとめる達人 ・正義感が強い ・正直である ・優しく、人に親切にできる ・家族やその他の人のことを思いやることができる ・できるだけ正確に言葉を伝えようとする ・自分が悪いと思ったら、相手に謝ることができる ・目標に向かって努力をしている | ・良いタイミングがなかなかわからない ・気持ちの切り替えが難しい ・相手がなぜ怒っているかが理解しにくい ・聞いた事、見た事をそのまま受け取ってしまう ・初めてのことや人に対して不安になりやすく、慣れるまで時間がかかる ・人が多く、ガヤガヤしている所は苦手 ・集団行動 ・身なりを気にすること ・すぐ焦る ・パニックになると周りが見えなくなる |
何かを覚えるときはスライド方式
Aさんは障害特性として、長い文章から読み取ることが苦手で、図や絵で理解することが得意という一面があります。
そんな特性を「何かを覚えるときはスライド方式」という言葉で表してくれました。

頭の中のイメージは、記憶が一枚一枚のスライドになって重なっていて、使うときに取り出しています。
(写真や絵、紙芝居のような感覚に近いそうです。)
そのスライドを何回も取り出していると、覚えて、記憶が定着していくそうです。
就職をすすめるときの困りごと
いざ、就職活動をする!となったときにも、Aさんにはいくつか困りごとがありました。
▶ どんな仕事についたらいいのかイメージできない、仕事が見つからない
▶ 夢やこだわりが捨てきれない
▶ 書類作成のときに、文章をくみ立てるのが大変
▶ 面接で話す内容が覚えられない
試行錯誤を重ねる中で、いまはどんな方法をつかっているのでしょうか?

就職活動で実際にしている工夫
❶未来を図で描いてみた
いざ就職をするために必要なことはなに?目標は?となっても、イメージすることはだれでも難しいもの。
また、ASDの特性のひとつで、必要性に納得できないとなかなか動けないという側面もあります。
そこで、Aさんは未来の地図をつくりました。
模造紙サイズの紙に、「こうなったらいいな」と思う切り抜きを貼るのです。



住みたいところ、好きな家、旅行に行きたい場所、乗りたい電車などなど…
この未来の地図をつくったことで「描いた理想の生活をするために、就職活動をする!」というモチベーションにつながりました。
❷こだわりは大切に
求人をいざ探し始めたAさんは、働きたい職場へのこだわりと熱量は人一倍!
なかなか求人が見つかりませんでした。
家族や主治医、ヴィストの支援員とたくさん相談を重ねて、いまはこだわりを妥協するのではなくとことんチャレンジしています。

チャレンジして応募して、その結果を自分で受け止める。
誰かにいわれて諦めるのではなく自分で歩んでいく過程を大切にしています。
現在は、最初の目標のままではなく、興味検査などの結果をふまえて、支援員と相談しながら少しずつ軌道修正をして進めています。
❸書類の文章づくりはスタッフに相談
履歴書・職務経歴書・自分説明書(合理的配慮を書いたもの)など、応募するためには書類が必要です。
そして書類には文章がつきもの。
志望動機や自己PR、障害の説明など文章をつくる項目はいくつかあります。

Aさんは文章からの読み取りだけでなく、文章を組み立てることも苦手でした。
そこで、個別ワークにてじっくり支援員と一緒に文章づくりを行いました。
また、面接で話すこともなかなか覚えられなかったので、面接練習を個別で繰り返し行っています。

さいごに
今回はASDの障害を持つAさんに就職活動をどのように進めているのか教えていただきました。
同じ疾患でもさまざまな特性があり、どんな方法があうのかは人それぞれです。
「自分に合った就職活動がわからない…」という方も、ヴィストの個別支援にご相談ください。