やる気がでない、気分が落ち込む…。こころの不調に対する3つの予防策
・食欲がない。睡眠の質が良くない。
・1日中だるくて疲れが取れない。以前楽しめていたことが楽しめない。
・気分が落ち込んで憂鬱。イライラしやすくなった。涙もろくなった。
・やる気がでない。何事にも興味や関心が無くなった。
これらは、うつ病の初期症状かもしれません。
今回は、うつ病に対する3つの予防策についてご紹介します。
うつ病・気分障害とは?
厚生労働省が運営するWEBサイト「みんなのメンタルヘルス」では、うつ病について以下のように紹介されています。
うつ病は、気分障害の一つです。
精神症状とともに身体症状が現れ、日常生活に大きな支障が生じている場合、うつ病の可能性があります。
気分障害には、うつ病との鑑別が必要な双極性障害(躁うつ病)などがあります。
うつ病ではうつ状態だけがみられますが、双極性障害はうつ状態と躁状態(軽躁状態)を繰り返す病気です。
うつ病と双極性障害とでは治療法が大きく異なりますので、専門家による判断が必要です。
みんなのメンタルヘルス「うつ病」
1次予防(未然防止および健康増進)
一般に「予防に勝る治療なし」と言われますが、うつ病のような精神疾患にもあてはまります。
ただし精神疾患に関しては、伝染病に対する予防接種のような予防法は確立されていないため、一般的な健康管理が推奨されるにとどまります。
1次予防策①:規則正しい日常生活を送る
自身でできる1次予防として他の疾病予防と同様に、食事や睡眠などの日常生活の営みを規則正しく行うことが挙げられます。
また、適度に休息をとることや、趣味などによってリラックスできる時間を設けることも有効です。
1次予防策②:うつ病について正しく理解する
日本では、100人の内約6人が生涯のうちにうつ病を経験しているという調査結果があります。また、女性の方が男性よりも1.6倍くらい多いことが知られています。女性では、ライフステージに応じて、妊娠や出産、更年期と関連の深いうつ状態やうつ病などに注意が必要となります。
うつ病について正しく理解しておくことも、予防の一つになります。 うつ病の1次予防において、知っておくと良いことを以下にご紹介します。
・うつ病は誰でもかかる可能性がある身近な病気です。
・うつ病はやる気の問題や気の持ちようではなく、いわゆる遺伝病でもありません。
・うつ病では脳内の神経機能に変調が起きており、医学的な治療が必要です。
・しかし、死に至る恐れのある病気であり、多くの自殺の背景にはうつ病が潜んでいます。
・うつ病を早期に発見し、治療につなげることで自殺の予防につながります。
・うつ病の症状・サインには自分が気づく変化、周囲が気づく変化があります。うつ病の症状やサインを知っておきましょう。(表情が暗い(と言われる)、涙もろくなった、反応が遅くなった、落ち着かない、飲酒量が増えるなど)
・うつ病にならないためのストレス解消・対処法が重要です。
・うつ病は早期発見・早期対応がポイントです。
・うつ病の治療が必要な場合には適切に治療を受けることが大切です。
2次予防(早期発見、早期の対処)
2次予防は、早期の発見や対処を通して、病気の進行や障害への移行を予防する段階です。
抑うつ状態の可能性を早期に発見して、進行を予防しましょう。
2次予防策:相談する
他者に相談できずに抱え込んでしまうと、状況がどんどん悪化してしまうことがあります。
他者に相談できない理由の例としては、
① うまく説明する自信が無い
② どうせわかってもらえないと思う(諦め)
③ 話しても意味がない、時間やエネルギーが無駄だと思う
④ 弱みを見せるのが恥ずかしい・怖い
⑤ 迷惑をかけたくない
⑥ 以前相談して嫌な思いをしたことがある
などが挙げられそうです。
何らかの「づらさ」を感じている場合は、自分だけで抱え込まずに、公的な機関への電話相談から始めてみることをお勧めします。
厚生労働省のこころの健康相談統一ダイヤルを利用してみてください。
こころの健康相談統一ダイヤル:0570-064-556(ナビダイヤル)
また、勤務先が従業員50名以上の職場であれば、職場内に相談窓口が置かれている場合があります。社内報やホームページで確認して相談してみてください。
3次予防(治療と再発予防)
3次予防は実際に心の不調を感じ、発症した場合の治療と再発を防ぐための策です。
もしうつ病の診断が下りた場合には、何ごとも主治医に相談し、主治医の助言を中心に行動してください。
また、利用できる障害福祉サービスや日常の困りごとの相談については、病院のソーシャルワーカーや市町村にも相談できます。
治療を焦らない、あきらめないことが大切です。 治療を進め、再発を防ぐための策をお伝えします。
3次予防策①:医療機関を受診する
「私はうつ病なんかじゃない」「疲れているだけだ」と、うつ病などの精神障害にかかっていることを否定したくなるかもしれません。
しかし、1次予防策のところでも触れたとおり、うつ病は誰でもかかる可能性のある病気で、適切に治療を受けることが大切です。
うつ病は2回、3回と繰り返すことが多いので、早めに専門の精神科の受診をお勧めします。
3次予防策②:薬を服用する
気分が沈み込んでくるとすべてにマイナス思考になり、薬物療法をはじめとする様々な治療法に対しても悲観的になりやすくなりがちです。
「薬を飲んで本当に役に立つのか」
「薬を飲んでも、どうせ何も変わらない」
「どんどん薬の量が増えていってしまうのではないか」
「やめられなくなるのでないか」
といった気持ちや、薬がすぐに効かないという理由から、飲むのをやめてしまう方もいますが、抗うつ薬は飲んですぐに効果が現れるわけではなく、効果発現までに時間がかかります。
薬の服用については主治医や薬剤師からの指示に従い、薬に対する疑問があれば説明をしてもらうようにしましょう。
まとめ
昨今、『うつ病』という言葉はよく聞くようになりました。しかし、どういう状態なのか、どういう病気なのか、などについて正しく理解することは難しいことと思います。目に見えない精神の部分であるため、自身で気づきにくいことや自分で認めたくない思いも持ちがちです。
最も重要なことは、日ごろからの食事や睡眠を中心とした健康管理です。予防の重要性は、精神疾患も他の疾患と根本的に同じです。
また、罹患したとしても早期に気づいて適切な機関に相談、対処をすることによって悪化を防ぐことができ、本人や家族の生活を守ることができます。
けして自己判断に頼らず、こころの健康相談統一ダイヤルや、職場の相談窓口、医療機関などに相談してみてください。
[引用元・参考文献]
・『精神疾患とその治療 第2版』中央法規出版株式会社
・放送大学教材
「’14 1518895-1-1411 臨床家族社会学」清水新二著
「’15 1518950-1-1511 今日のメンタルヘルス」石丸昌彦著
「’17 1519107-1-1711 障害を知り共生社会を生きる」吉川雅博著
・厚生労働省「知ることから始めよう みんなのメンタルヘルス」
https://www.mhlw.go.jp/kokoro/know/disease_depressive.html
・厚生労働省「働く人のメンタルヘルス・ポータルサイト こころの耳」
https://kokoro.mhlw.go.jp/depression/
・厚生労働省「こころの健康相談統一ダイヤル」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/seikatsuhogo/jisatsu/kokoro_dial.html
・厚生労働省「うつ対策推進方策マニュアル 2.予防の観点からうつ対策を考えてみましょう」
https://www.mhlw.go.jp/shingi/2004/01/s0126-5f2.html
・厚生労働省「うつ対策推進方策マニュアル 3.三次予防としてのうつ対策:本人をサポートするネットワーク作りに向けて」
https://www.mhlw.go.jp/shingi/2004/01/s0126-5f3.html
・エン・ジャパン人事のミカタ「メンタル不調に対する3段階の予防策。1次~3次、それぞれの内容とは?」
https://partners.en-japan.com/special/old/150204/2/
・パークサイド日比谷クリニック「うつ状態と怠けの違い」
https://www.parkside-hibiya.com/column/difference_btw_depression_sloth.html
・新宿ストレスクリニック「うつ病の初期症状|身体や心に表れるうつ病のサイン」
https://www.shinjuku-stress.com/column/psychosomatic/early-depression/
・RELO総務人事タイムズ「メンタルヘルスケアの基本|知っておきたい「3つの段階」と「4つのケア」」
https://www.reloclub.jp/relotimes/article/14366
・健達ねっと「ストレスと向き合う!ストレスの原因や対処法などを徹底解説!」
https://www.mcsg.co.jp/kentatsu/health-care/19444
・FRENS「相談できない・苦手な人にやってほしい3つの相談方法」
https://www.frenslgbtq.com/post/column-20190811