ヴィストカレッジ ロゴマーク ヴィストカレッジ
児童発達支援・放課後等デイ


読みもの

子どもの言語発達の遅れが気になる方へ「楽しみながら言葉を引き出す支援」とは?

療育 2024.02.29

ヴィストカレッジ富山環水公園前では、未就学児のお子さんを対象に1対1で行う個別ワークを行っています。

保護者の方からは、
「言葉がなかなか出てこない」
「言葉でのキャッチボールがうまくいかない」
「質問に合わせてお話できてほしい」

といった相談があり、言語に関するニーズが多くあります。

言葉の獲得に必要な土台とは?

子どもが意味のある言葉を知り、言葉を話せるようになる前段階として、以下のような力が必要です。

①音声を聞く
②音声を発する
③コミュニケーション
④物の認知

この4つの土台と具体的な支援や子どもとの関わり方について、解説していきます。

①音声を聞く

さまざまな音を聞き取ることや、必要に応じて聞き分ける能力の発達が必要です。
発達に特性のある子どもの中には、騒がしい環境の中で必要な聴覚情報だけを聞き分けることが難しく、すべての情報を拾う子どももいます。

音声が聞きやすくなるための関わり

不必要な聴覚情報が入りにくい静かな環境を準備することで、必要な聴覚情報を聞き取りやすくなります。

また、注目してほしい物事を子どもの視界に入れ、子どもが注意を向けているかを確認することが大切です。そうすることで子どもは自然と話し手の指示を聞こうとする意識が生まれます。

②音声を発する

音は音声器官が発達し、発声に適した状態になることで発声できます。音声を発声させるための器官の発達や、それらをうまく使う運動機能(舌を前後左右に動かす力など)の発達が必要です。

発声につながる遊び

身体的な発達段階に合わせて、吹く・吸う遊びを行うことで唇や舌を動かす機会になります。

③コミュニケーション

言葉を話す前段階でも、子どもは表情・視線・音声・身振りなどでコミュニケーションを取ろうとする姿があります。子どもの発信に敏感に応答していくことと、子どもが興味・関心をもって発信した物事の理解を促すための関わりが大切です。

コミュニケーションを促す関わり

・要求する

欲しいものがあったときに、指差しやジェスチャー、発声で相手に伝えるともらえた、という経験を積んでいきます。ここでは「おもちゃが欲しい!先生に伝えたい!」と、相手に言葉で伝えたい意欲があることが大前提です。子どもがやりたい活動・好きな活動を中心に、楽しみながら練習していきます。

・援助要請

箱を開けられない、使い方が分からない時などに、「手伝って」の思いをジェスチャーや言葉で伝えられるような環境を作って発語を促しています。

④物の認知

言語の獲得には、まず物の操作を通じて物の名前や特徴を認識することが重要です。
自分の目や耳や手で知覚し、操作できる環境を十分に用意してあげることが大切です。
また、カテゴリーごとに分類する力や記憶する力、象徴機能(ある物を他の物で表現すること)の発達も重要です。

認知の発達を促す活動

・実物を触る

目で見る、手で触る、匂いを嗅ぐなど五感で感じながら関わっていくことが重要です。その中で色や形、物の名称などを大人が代弁していき、理解につなげます。

・絵カード・弁別

食べ物や動物、道具、表情、身体部位など様々な絵カードを、目的に合わせて使い分けています。
物の名称を知るだけでなく、用途を説明する活動を通して動詞と動作をマッチさせたり、どのような場面で道具を使うのかを学んだりできます。
大きさ・長さなど抽象的な概念も理解しやすいよう、目で見て・手に取って分かる教材を使っています。

・お店屋さんごっこで仲間わけ

やおやさん・お魚屋さん・お肉屋さん・果物屋さん・パン屋さん・レストランなどのお店に、食材を分けていきます。仲間分けを行う中で食材の名称や特徴を知ったり、上位概念(例:いちごは『食べ物』の仲間、食べ物の中でも『果物』の仲間だと分かること)を学んだりすることもできます。


今回は、言葉の獲得に必要な4つの土台と具体的な支援の一部を紹介しました。 発語を促すために何より大切なことは「相手に伝えたい」という気持ちや、「相手に伝わって嬉しい!」という成功体験だと考えています。子どもの好きな遊びや興味・関心のある物事を存分に生かしながら、ぜひお家でもできそうなことがあれば試してみてください。

参考文献:赤ちゃん学で理解する乳児の発達と保育第3巻 言葉・非認知的な心・学ぶ力 中央法規

記事作成:ヴィストカレッジ環水公園前お問い合わせはこちら

TOP > 読みもの > 子どもの言語発達の遅れが気になる方へ「楽しみながら言葉を引き出す支援」とは?