【仕事を知る#003】 一人ひとりのニーズに応える「個別ワーク」を見てみよう!小中高生編
ヴィストカレッジでは、発達に特性のあるお子さんへキャリア教育や一人ひとりに合わせた療育支援を行っています。
でも一人ひとりに合わせた支援とは、具体的にどのようなものなのでしょうか?
事業所によって通所されているお子さんの年齢は様々ですが、今回は一番年齢の幅が広いヴィストカレッジ富山駅前に密着!
小学生、中学生、高校生それぞれにどのような支援が行われているか、取材しました。
小学校高学年Aさんの場合
小学校高学年の利用者Aさんは、手先や体全体の運動能力を高めたい、特に右手の動きを訓練したいといったニーズがあります。
この日、Aさんの支援を担当するのは、児童指導員のHさんです。
Hさん「今日は、左手と右手を使えるワークを計画し、『Slide QUEST』というボードゲームを使うことにしました」
このゲームでは、黄色のバーを動かしながら、盤面の傾きや振動を調整します。
穴に落ちないようにコマを動かしながら、ゴールにたどり着けたらOK、といったゲームです。
ヴィストカレッジには、こうしたボードゲームやカードゲームが約50種類あり、利用者さんの伸ばしたいスキルや課題感に合わせて支援に取り入れています。
中学生Bさんの場合
新型コロナウイルスの感染不安がある利用者のBさんは、在宅でワークに参加しています。
児童指導員のNさんが、オンライン会議システム・Zoomを使ってワークをはじめました。
この日は、人との関わりや自分の意見を言うことが苦手といった課題にアプローチするため、クイズやクローズクエスチョンを使いながら、人(スタッフ)と関わりを持つことにと取り組みました。
中学生Cさんの場合
受験生のCさんは、推薦で入りたい高校があるとのことで、推薦入試の面接対策に取り組んでいます。
この日は、なぜその高校で学びたいのか、といった志望理由の整理を児童指導員のYさんとともに行いました。
高校生Dさんの場合
ヴィストカレッジでは、職業体験も行っています。
施設内で行うこともありますが、地域の企業・団体の方にご協力いただき、外部で行うこともあります。
この日は来月参加する外部での職場体験を見据えて、体験先がどのようなところで、どうやって自宅から体験先まで向かうかを調べます。
こうしたアクセス情報を調べることも、就労準備の支援となります。
またDさんの手先の器用さを高めるために、「小さな折り紙」でポチ袋の飾りをつくる仕事体験も行いました。
仕事体験とすることで、ただ折り紙をするのではなく、「商品をつくる=完成度の高いものに仕上げる」という仕事への姿勢を培います。
高校生Eさんの場合
Eさんはこの日「コグトレ」に取り組みました。
「コグトレ」は、社会面・学習面・身体面の3方面から支援するための認知トレーニングのプログラムです。
今回はプリントを使って、注意力や集中力、処理速度を高めるトレーニングを行いました。
こうしたワークの準備は、前日~当日の間に進めておきます。
当日利用者さんが来所し、ワークがスタートする前にホワイトボードを準備します。
利用者さんが見通しを立ててその日の訓練に臨めるように、すべてのワークの前に行われています。
一人ひとりの希望を一緒に叶えていくために必要なこと
この日はご紹介した5名を含め、9名の利用者さんに支援を行いました。
一人ひとり違うお子さんのニーズや、目指すものを一緒に叶えていくためには、利用者さんのことをよく知ること、そしてスタッフ同士の情報共有と入念な事前準備が大切です。
自分が支援に入る前には、前回支援に入ったスタッフに様子を聞き、プログラムへの取り組み具合や気持ちの変化などをインプットしておきます。
また、家庭や学校の様子を知るためには、親御さんや学校との情報交換も必要になってきます。ご家族との面談や、学校への訪問も、利用者さん本人やご家族の声を聴きながら進めていきます。
また、支援中に起こったヒヤリハットも終礼で共有しています。
(※ヒヤリハット:重大な事故には至らなかったものの、事故になっていた可能性がある出来事)
ヒヤリハットは支援スキルを高めていくためにも重要です。過去の事例を知ることで、利用者さんの特性を知り、声掛けや環境調整を行うことができます。また、プログラム内容のブラッシュアップ時に参考にすることで、より安全な環境で、お子さんの力を伸ばしていくことができます。
日々の支援の積み重ねが、子どもたちの自立した将来につながっていく
1回の支援はわずか45分間。
でも、この時間内でどのようなプログラムを行い、どのような声掛けをし、どうやってお子さんたちの達成感につなげていくのかは、児童指導員の腕の見せ所です。
こうした日々の支援の積み重ねが、利用者さんが将来自分らしい生き方・働き方を自分で決められる自立した大人になっていくことにつながっていきます。
利用者さん一人ひとりの気持ちと将来の目標に寄り添い、支援を通して一緒に叶えていく。それがヴィストカレッジの児童指導員の仕事です。