スタッフお勧めの書籍紹介!②『私たちは子どもに何ができるのか――非認知能力を育み、格差に挑む』

こんにちは。
朝の冷え込みが辛い日々が続いておりますね。ヴィストカレッジ富山県庁前のスタッフSです。
今回はおすすめ書籍のご紹介第2弾をさせていただきます。

第1弾はこちらから。

今回の一冊

『私たちは子どもに何ができるのか――非認知能力を育み、格差に挑む』
箸:ポール・タフ  訳:高山 真由美

本書要旨

子どもの貧困の現状と、その解決の手段として“非認知能力”の可能性について紹介されています。
非認知能力とは何か。獲得するにはどうすればよいのか?
それらを踏まえて、大人として我々は何ができるのかを考えます。

そもそも“非認知能力“とは?


皆さんは“非認知能力”という言葉を聞いたことはありますか?

非認知能力とは、数値化できない「生きていくために必要な能力」のことです。
学力や知能指数などの数値で測れる“認知能力”ではなく、協調性やコミュニケーション力など、数値では測りにくい能力全般を意味します。

日本においても子どもの貧困は社会問題化しており、昨今の感染症の状況によって、さらに悪化していくと考えられています。

また日本では、2020年度からの新学習指導要領の目的として
「社会の変化に対応し、生き抜くために必要な資質・能力を備えた子どもたちを育む」
と挙げられています。

こうした背景から、非認知能力が注目されています。

※非認知能力の例
協調性、コミュニケーション力、主体性
自己管理能力、自己肯定感、実行力、
統率力、創造性、探究心、共感性、道徳心、倫理観、規範意識、公共性 など。

上記に挙げたものは、どれも今の社会の中で生きていくために必要となる基本的な能力です。

著者によると、非認知能力は、教えることのできるスキルではなく、子どもを取り巻く環境の産物であるとあります。
子どもたちが社会で生き抜くスキルを高めるには大人が働きかける対象は子ども本人ではなく、環境であると述べられています。
また、本書では非認知能力を、“積み木”としてモデル化しており、基礎となる非認知能力(ストレス管理、アタッチメント、自制心)の土台の上に、高次の非認知能力は積みあがるもの、とされています。

大人はどうするべきか?


非認知能力は、学問の様に教わって身に着けることはできず、置かれた環境の産物であることがわかりましたが、環境による影響の中で子どもの発達を最も左右するのは“ストレス”であると本書では結論付けています。

子どもたちは、何らかの環境要因によって、長期間にわたって不健全な状態に晒されることがあります。
こうしたストレス要因は、知的機能の発達、特に感情面や認知面の制御能力を妨げ、様々な影響をもたらします。
ストレスが子どもたちの健全な心身発達を阻害する影響は、想像より大きなものなのです。

子どもの感情や認知が発達していくのに最も重要な環境は、“子どもが経験する人間関係”すなわち“家であり家族”と述べられています。

大人としての役割は、『子どもたちが受ける圧力(良いものも悪いものも含めて)の外部調整装置』になることです。
子どもたちが困難な状況に置かれ動揺した際に、瞬間的なストレスに対処するのを助け、落ち着きを取り戻すのを手伝うことが出来る大人は、その後の子どものストレス対処能力に大きな影響を与えます。

子どもたちは、関わる大人たちの反応を見て、社会を理解しようとします。
それを理解して、大人はほんの小さな配慮の積み重ねをすることが、子どもの大きな発達を助けるのです。

まとめ

“非認知能力”は、子どもが社会の中で生きていくために大切で、それらを獲得していくため最も重要な環境は、『子どもが経験する人間関係』にあります。
大人としては、
①子どもの気持ちに寄り添い、安全基地となる
②何かあった際はすぐに対応し、安心させる
③子どもの能力・成長を信頼し、見守る

この点を念頭に置いて関わっていくことが大切であると考えます。
さらに具体的な内容につきましては、一度本書を手にとって頂ければと思います。

本書はしばらくの間、ヴィストカレッジ富山県庁前にて紹介しております。

ヴィストカレッジの活動で、SSTなどの学びの前段階として様々な活動を提供しておりますが、非認知能力に関わる活動が存在している事をご理解いただけるかと思います。
ただし非認知能力を獲得していくために最も重要なのは、間違いなく保護者のみなさまのお力です。

ご家族が日々の関わりの中で、“積み木”を丁寧に積み上げてくださっているからこそ、ヴィストカレッジでの支援が一層の成長に繋がります。
今後ともお子様方の健やかな成長のための手助けを、共にさせていただければと思います。

ヴィストカレッジ富山県庁前(児童発達支援・放課後等デイサービス) 事業所ページ

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